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ブレンダー商戦(その2)

2013/07/02|会長ブログ

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前回のブログに続き今回は『ブレンダー商戦(その2)』をご案内したいと思います。

弊社は昭和48年11月に創業設立し、船舶関連商品を造船所と船舶業界に販売する専業商社でしたが、次にご紹介します一連の経緯によりまして現在はメーカーとしての地歩を固めつつあります。

創業以来商社として順調に業績を伸ばしてきましたが、昭和52年~53年にかけてのオイルショックに伴う造船大不況で造船所の約半分が倒産、閉鎖等に追い込まれ、舶用工業会会員各社の倒産は相次ぎ、一時は当社も崖っぷちに立たされ、造船所への販売の減少、顧客よりの値引き攻勢、仕入先からの手数料の値引き要請、信用棄損等で四重苦の状況下でした。

この苦境に対応するため毎月の資金繰りに苦戦しながら生き残り策を探った結果、自立することが最善の途であるとの認識に至りました。お国の安全保障と同様、親会社、下請会社からの自立が必要であり、そのためには自社開発能力をつけ生産、販売の両面において自立することを目指しブレンダー機を開発製造し自社での販売力を増強することが肝要でした。

前回のブログ『ブレンダー商戦の商品』もその一環で、本命は今回の船舶用発電機のためのブレンダーでした。需要の絶対量が多く当時建造した船舶のほとんどにブレンダーが搭載されるようになってきた矢先でした。

しかし当時の当社の環境は次のような心もとない状況です。

① 当社は元来メーカーではなく、代理店を生業としていました。
② そのため工場はなく、メーカーとしての設備もなく人材もいない状況でした。
③ 対外信用力も不足気味。
④ 当社がメーカーになるのは不可能というのが社内での大方の意見。

こういった状況で当社がメーカーに脱皮するための足掛かりとしては、私がそれまでに培った知識と経験がすべてでした。

① 前職の船舶機関士と船舶専門商社での知識と経験。
② 商社勤務時に船舶の排油焼却炉の製造経験があること。
③ メカトロニクス商品には以前から興味があり、知識の蓄積があったこと。
④ アイデアを出すのは得意分野であること。

前回のブログ『ブレンダー商戦』でご紹介しました船舶向けおよび陸上向けブレンダーはすでに製造・販売は開始していましたが、今回は本命の船舶発電機向けのブレンダーの製造・販売につきましてのお話です。

本ブレンダーの構想はすでに練っておりましたが、実際に製品化する方法は今までの常識を覆すものであったといえます。

2010年5月の私のブログでご紹介しました『0(ゼロ)戦作戦』でコンペジター(競合メーカー)のカタログ他公開図面など技術調査と関連技術資料を入手し、パイロット商品を製作し試運転までの期間を最短にするため、以下のような特別な方法を採用しました。

① まず計画した装置のフローシート(製造系統図)を作成。
② 必要機材の発注にあたり資料を入手、調査し検討を重ねたうえで手配する。
③ アフターサービス工事で協業している工場と相談し機器の搬入。
④ 段ボールにてレイアウトし他のモデルを数回のやり直しを経て短期間にて試作。
⑤ モデルを参考にし組み付けを実施。
⑥ 計画案に沿って試運転を実施し適時修正し完成。
⑦ 完成後に設計会社に依頼し、販売対象あて顧客への提出図面を作成した。

以上の工程が多分前例のないユニークな方法であったと自負しており結果として最短期間で目的のブレンダーが完成しました。

製品は出来ましたがこれを販売するのが最も難儀なことで、競合メーカーは業界でも有数のメーカーがそれも十数社あり、どのように販売促進するか試行錯誤を重ねた結果以下の方法を採用することとしました。

① すでに実績のある業者向けのプロセスブレンダーでは高等技術により当社がほぼ独占の状況でしたが、それに比較すれば当船舶発電機向けブレンダーははるかに簡単な技術でした。
② 航海中または海外にあっての国際メンテナンスは各機器ともカセットで交換する方法で、特に制御盤内部は取扱説明書により修理する必要はなく、乗組員が必要部分をカセット交換する簡便な方式を採用しました。
③ 地元に特化した集中PRをすることとし、まず地元造船所建造の地元船主に攻勢をかけ、同時に造船所の営業・資材・設計・工務に関連する部署に販売攻勢をかけました。

以上のような営業方針により果敢に行動したことにより次にあげる様々な反応に直面しました。曰く、苦笑しながら『噛みついたら離さんスッポン野郎、毎日、毎日仕事の邪魔をするなあ』 『日頃いろいろなセールスをしていたが、ブレンダー以外は販売中止かね』 『みなお前の噂をしているが、そんなことばかりをしていて大丈夫か?』 『船主さんから買ってやるからもう来るな、しかし気になるので造船所窓口にお前の話をしたら満更でもなかった。すぐ、売り込みに行ってきなさい。』 『山本さんが来て新製品の話をして帰ったから今度はそちらへ行くと思う。』 『日毎に話が変わるのは面白いが』等々・・・いずれも慈愛にあふれた反応ではありましたが、明けても暮れてもブレンダーの販売一点張りで、作るより売る方が如何に難儀であるかと心底思われたことでした。

こういった販売が功を奏し、その後売上は順調に推移し地元船主および造船所には完売し、大手造船所へも新製品は浸透することとなりました。
採用いただいた動機はいろいろあるようですが、①故障しない②取扱いが簡単③リーズナブルな料金設定などが主な理由でした。

ここで印象に残る商談の思い出をお話しします。

① 『山本さん、あんたは運が良い人ですな。新造船が出航後メンテに関し何かとクレームがあるものだが、あのブレンダーについては何も言ってこない。多分使ってないのと違う?』とのお話があり早速その場で船舶電話で確認を取ると問題なく使用中であることが分かり、お互いに顔を見合わせ笑いあったことでした。
② 大手造船所からの電話で、当社のブレンダーの工場を見学したいとの申し出があり対応に困ったことがありました。というのは当社の生産方法は工場なしで設計をし、検査機関において試運転検査をするもので、図面などはありますが、機器の大部分は購入品で自動制御は制御の専門メーカーと協議の上手配し、電気制御盤メーカーへ発注し、組み立ては協力会社にてするために工場は必要ない旨説明しましたがやはり来訪されました。
すべての生産過程をご説明した後に、日本を代表する重工会社の来訪者がおっしゃるには『当社と似たような生産システムであり、地方の中小会社のなかでも小会社に属する会社で、先進的な生産方法を採用していることは意外でありました』との評価をいただいた。
③ 前回ブログにて紹介しましたフェリー基地商談の船主さんより命令口調で『おぬしのブレンダーをⅠ社に発注の新造船に採用してはどうかと思い窓口に打診しようと思っていた矢先に、先方からあの山本さんところのブレンダーは如何ですかとおっしゃておられた。すぐⅠ社に行って来い。多分売れると思う』とのことで、早速訪問し資材窓口の責任者に打診したところ『あのブレンダーについてS社の専務さんに安い割には良い評判ですね、と言ってみたら反応が満更でもないので買うこととしたい。安くしなさい』でした。その晩は眠れないほどに嬉しい思いでした。

その後も順調に売り上げが伸び、日本一のブレンダーを狙うほどの販売も十分可能であることを確信しました。
しかし良いことは長続きしないもので、急速に販売量の減少が始まりました。
この主な原因は、発電機関のメーカーが同時期にブレンダーを必要としない安価なⅭ重油燃焼を可能にした機関の製造に成功したため、ブレンダーの販売は短期間で減少することとなりました。

このことから日本の機関メーカーの開発力は素晴らしいと感動しましたが、柳の下にドジョウは2匹いなかったことから、当社としては早速次の新商品を考えねばならないと思っていた矢先に思わぬ情報があり新製品に取り組むことになりました。
このことにつきましては次回のブログに書く予定です。

このブレンダーについてはその後も細々と生産は継続していますが、当時は陸上・船舶合わせて20社近くあったブレンダーメーカーが、現在では国内外合わせて当社1社のみとなっております。

ブレンダー商船その2-1

ブレンダー商船その2-2

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山本太郎

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