【減圧脱水装置 Umie】~染料・顔料含有廃液の処理~
減圧脱水装置 Umie蒸発濃縮装置 Sorae神戸陸上営業チームの阪口です。
今回は、染料・顔料廃水についてお話しをしたいと思います。
染料・顔料の起源は旧石器時代にさかのぼりますが、よくテレビで見る古代壁画にあるように表現・記録が主だった時代から、エジプト時代ではミイラの防腐・防虫、ローマ時代ではすでに衣類の染色に使用されていたようです。
1856年に合成染料が発明され、1930年頃には合成繊維の誕生、1980年代にはプリンター、ディスプレイ、光記録媒体などのエレクトロニクス分野や農薬・医薬の開発にも寄与し、人々の生活を豊かにしました。
第一次、第二次世界大戦で世界は荒廃しましたが、染料・顔料技術は日本の化学会社によるポリエステル繊維の開発や再びエレクトロニクス分野と電気・精密機器メーカーの共同開発など、今では世界をリードするまでになっています。
そんな染料・顔料ですが、排水処理の観点からどうしても問題になるのが、色の問題です。染料・顔料にはそれぞれ特徴があり、染料は非常に細かくて水や油に溶けますが、顔料は粒子が大きく、水や油には溶けません。特に染料は凝集法では処理できないため、二次処理が必要となります。以下が代表的な処理フローとなります。
染料・顔料含有廃水処理フロー例
色素処理では二次処理でオゾン分解や活性炭吸着処理が必要なのが特徴的です。
保守・メンテナンス上、凝集薬剤及び凝集脱水汚泥処分の他に吸着に使用する活性炭補充や処分などに高額のコストが掛かります。
非常にコストの掛かる廃水ですが、ここで蒸留法を利用した減圧蒸留濃縮事例を紹介いたします。
染料、顔料廃水事例.1 | 染料、顔料廃水事例.2 | |||||
分析項目(mg/L) | 原水(mg/L) | 回収水(mg/L) | 分析項目(mg/L) | 原水(mg/L) | 回収水(mg/L) | |
---|---|---|---|---|---|---|
水素イオン濃度 | 9.8 | 7.5 | 水素イオン濃度 | 5.1 | 7.4 | |
生物化学的酸素要求量 | 520 | 12 | 生物化学的酸素要求量 | 850 | 75 | |
化学的酸素要求量 | 380 | 4 | 化学的酸素要求量 | 9200 | 68 | |
浮遊物質 | <5.0 | <2.0 | 浮遊物質 | 100 | <2.0 | |
ノルマルヘキサン抽出物質 | 92 | <1.0 | ノルマルヘキサン抽出物質 | 120 | 7.2 |
染料、顔料廃水事例.3 | 染料、顔料廃水事例.4 | |||||
分析項目(mg/L) | 原水(mg/L) | 回収水(mg/L) | 分析項目(mg/L) | 原水(mg/L) | 回収水(mg/L) | |
---|---|---|---|---|---|---|
水素イオン濃度 | 8.2 | 7.2 | 水素イオン濃度 | 7.5 | 8.1 | |
生物化学的酸素要求量 | 130 | 23 | 生物化学的酸素要求量 | 83 | 5 | |
化学的酸素要求量 | 420 | 10 | 化学的酸素要求量 | 630 | 10 | |
浮遊物質 | 12 | <2.0 | 浮遊物質 | 20 | <2.0 | |
ノルマルヘキサン抽出物質 | 10 | <2.0 | ノルマルヘキサン抽出物質 | 14 | <2.0 | |
ホウ素及びその化合物 | 840 | 3.2 | ||||
全有機体炭素 | 380 | 12 | ||||
電気伝導率(μS/cm) | 1050 | 10.2 |
染料、顔料廃水事例.5 | 染料、顔料廃水事例.6 | |||||
分析項目(mg/L) | 原水(mg/L) | 回収水(mg/L) | 分析項目(mg/L) | 原水(mg/L) | 回収水(mg/L) | |
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水素イオン濃度 | 7.5 | 6.3 | 水素イオン濃度 | 6.5 | 7.8 | |
生物化学的酸素要求量 | 1300 | 50 | 生物化学的酸素要求量 | 9200 | 45 | |
化学的酸素要求量 | 10230 | 30 | 化学的酸素要求量 | 12000 | 64 | |
浮遊物質 | 3400 | <2.0 | 浮遊物質 | 76000 | 5 | |
ノルマルヘキサン抽出物質 | 13 | 4.2 | ノルマルヘキサン抽出物質 | 64 | 13 |
色度データはありませんが、厄介な色素成分は蒸留法により除去でき、無色透明な回収水が得られ、生物化学的酸素要求量や化学的酸素要求量も低減できています。
減圧脱水濃縮は、以下のようなしくみで処理を行います。
減圧脱水装置Umie
弊社では、減圧脱水装置「Umie:ウミエ」の他に廃液中の水分を蒸発させて、気化した蒸発物を酸化分解して無害化して大気へ放出し、減容化する蒸発濃縮装置「Sorae:ソラエ」もあり、廃水の基質や成分をお客様と協議しながら、より適した処理方法をご提案させていただいております。
蒸発濃縮装置Sorae
廃水処理でお困りのユーザー様やお客様よりご相談を受けられた窓口会社様がございましたら、是非お問い合わせいただければ幸いです。
弊社では、ラボテストは無料で実施しておりますので、お気軽にお声掛けください。
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